静夏堂

個人的考えのまとめ。主に音楽や本や映画とかアートとかについて

選挙ポスターと上手下手

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院選の余韻が響いています。クリスマスプレゼントなのか、24日の第三次安倍内閣発足まで残響するでしょう。

そんな中、購読しているブログの1つである、ふのい倉津浦さんの『強靭化のすすめ』で面白い記事がありました。

小渕政権から安倍政権まで、自民党民主党のポスターとフレーズについて記されています。同記事ではキャッチコピーが中心ですが、ここでは描かれ方に焦点を当てます。

はっきり言って、自分は選挙ポスターが大嫌いです。というか、好きな人はほぼ居ないでしょう。政治不信もさることながら、胡散臭さが漂いまくりでイケメン美女でも無い連中の顔を、なぜ毎日目にしないといけないのか。

 

そんなポスター、受け手から見て「右側立ちの左向き顔」なのが目立ちます。なぜ多いのか?理論上の説明が付きます。

上手と下手、という舞台用語があり、映画はじめ視覚印象の力学として応用されています。観る者から、右側が上手で、左は下手となります。基本的に、上手の方は重くて低い印象を与え、下手は軽くて高い印象を与えます。

なぜそうなるかというと、心臓が左にあるからです。重く振動しているので、左に負担をかけないよう意識が勝手に働く。逆に右となれば、寛容になる。

視覚以外でも、オーケストラではチェロやコントラバスなど、低音パートの楽器は全て右にあります。これも上記の理由に当てはまります。ステレオ録音でも、ベースが右から流れてくるのが多いのを確認出来るでしょう(例外として、赤盤の頃までのビートルズは左からブンブン来ます。青盤になるとキレイに右か真ん中になります)

ダイナミックでカッコイイと思わせるポーズのほぼ全ては、右から左上に向けて描かれます。重い物が右下に立ち落ちて、軽いソードが左上に引っ張られている。加えて、ハートを突かれるようでズッキュンと来る。下の画像を見れば、一目瞭然です。特にロボットものは徹底的で、ガンダムエヴァも基本は上手立ちです。

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ナチス式敬礼もそうです。f:id:shizukado:20141216012343j:plain

ダヴィッドのナポレオンもそうです。

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カッコイイだけでなく、美しいと感じさせるのもそうです。モナ・リザは真正面に居ますが、口元だけでなく全体が絶妙に左上へと引っ張られている。

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以上の点から、この文法に則った勇ましく描かれたポスターとなると、小泉純一郎のものになります。悔しいことに、完璧です。扇動政治を成功させただけあります。2001年から06年の期間中、一度も構図を変更していないのがそれを象徴しています。

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『強靭化のすすめ』記事内の流れに添うと、2005年民主党岡田克也のも似た構図です。が、寄り過ぎで、横向きに見えてしまう。小沢一郎麻生太郎はなぜか下手。鳩山、菅内閣は下手の正面。ドジョウ内閣は真正面。

さて、今回の自民党

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下手です。星空眺めて夢見る晋三少年です。これを制作した人は鈍いとしか言えません。が、初心な少年の内面性を描き出したようで、逆に象徴的です。

唯一強調性があるのは、赤を使っている点。赤は、信号機やサイレンランプ、そして共産主義国ナチスもテーマカラーにしたように、最も注意を惹く色です。国旗の多くも赤が使われています。これは、血液が赤だからでしょう。

もう一つのポスターは上手ですが、左拳なので弱々しい印象。

右寄りな政策と評される割には、色々矛盾しているような。

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基本的に政治を扱わない本ブログですが、書きながら面白い発見が出来ました。

ちなみに、この上手下手を教えてくれたのはやはり富野由悠季で、下の本に書かれています。 ちょっと難解で本気度100%な映像原理伝授本ですが、映像制作者じゃなくても映画等をより一層観る為の勉強になります。

 

映像の原則 改訂版 (キネマ旬報ムック)

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