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静夏堂

個人的考えのまとめ。主に音楽や本や映画とかアートとかについて

Carry that weight ─ 安倍晋三氏への私見

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政治に入り込むとバカになりそう、とかなり前の記事で書きました。これはあくまで個人的な直感にすぎず、政治に関わっている人が無能だということを意味しません。

むしろ最近は政治に関する本を読む機会に恵まれ、そこで学んだことは「冷めたピザ、サメの脳味噌を持つ男、悪代官、変人、宇宙人、売国奴」とどんなに非道いレッテルを貼られようが、「国のため(公のため)に私を捧げていない政治家はいない」ということです。

でないと、官僚による台本を迫真の演技で読み上げたり、四方八方に足を駆け巡っては笑顔を振りまいたり、何かを崇める団体や身体にお絵かきしている人達に挨拶回りをしたり、かつ24時間365日監視され、命も狙われかねない職業など、やってられません。

我々平民は何でもかんでも政治家批判ばかりしてしまいがちですが、この辺りをもう少し考慮して良いはずです。彼らなりの立場があります。

 

とはいいつつ、政治家というのは「国の権力」を自覚・無自覚的に握り、操れる立場にいます。したがって民主主義国家における国民は、その権力を監視せねばならない。なぜなら権力というのは水物であり、時に暴走し歯止めがきかなくなる可能性を孕んでいるから。

 

現下安倍政権に関しては非常に風当たりが悪いです。が、自分はそれよりも、安倍晋三という人自身に関心が向かいます。本来その役に合っていないのに真面目な顔で「強い自分」を演じている姿を見るのが単純にツラい。安倍氏を見ると、胸が痛くなるのと同時に、妙なシンパシーを抱いてしまいます。

 

では、氏はなぜそうまでして似合わない役を演じなくてはならないのか?

それは、彼が日本一のサラブレッド政治家だからです。

複雑な家系の、日本一のサラブレッド政治家として

安倍氏は生まれも育ちも東京ですが、基盤は山口県にあります。そのため氏は「わたくしの地元である山口では」と執拗に口にします。

氏の父親は官房長官から自民党幹事長まで歴任し総理大臣に最も近いとされていた故安倍晋太郎氏です。そして母方の祖父は、岸信介第56・57代内閣総理大臣

また意外と忘れられている事ですが、岸信介の弟は佐藤栄作第61〜63代内閣総理大臣です。兄弟そろって総理大臣となったのは、現在までにこの例のみ。晋三氏からしたら佐藤栄作は大叔父にあたります。

この2人、なぜ実の兄弟なのに性が違うのか?

まず、2人の父である岸秀助は山口県庁につとめていた役人でしたが途中、酒屋業を起こします。そこで酒造権を持っていた妻の佐藤家に婿入りし、ここで一家の姓は佐藤となります。この佐藤家は長州藩士の家系にあたります。

それからしばらくして、次男であった信介は父方の岸家の方に養子に出されます。この義父であり叔父でもある岸信政もまた山口の士族。信介は従妹にあたる良子と結婚し、岸家を継ぐことになります。

そして栄作の方も、佐藤家側の従妹である寛子と婿養子の形で結婚します。つまりこの2人は兄弟揃って総理大臣となっただけでなく、婿養子のいとこ婚を経験しているわけです。

すべてはお家のために。

岸信介夫妻には、長男長女と2人子供が生まれ、長女の洋子が安倍晋太郎の妻となります。つまり、晋三氏の母親です。

 

これだけでも複雑な家系を呈しておりお腹いっぱいですが、さらに続きます。

安倍晋太郎の父は安倍寛という衆議院議員でした。この安倍家もまた代々続く名門。

安倍晋太郎の子供は3人居ます。長男の寛信氏は一般人ですが三菱関係の社長とのことです。次男が晋三氏。そして三男は自民党所属の岸信夫衆議院議員です。安倍性ではなく岸性なのは、岸家を継いでいるからです。歴史は繰り返すというか、子供が居なかった岸家に信夫氏は幼いころ養子に出されているのです。そのため、晋三氏も信夫氏も大人になるまで実の兄弟だとは知らなかったといいます。

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今後、もし信夫氏が総理大臣となることがあったら、3親等以内に総理大臣が4人も居ることになります。

 

さらにさらに付け加えると、安倍氏の縁戚には吉田茂がいます。吉田茂の孫といえば麻生太郎元首相。そして麻生氏の妹は皇族に嫁いでいるので、天皇家とも繋がっていることになります。

 

以上のように、安倍晋三という人がいかに華麗で複雑な家系を持っているか、お分かり頂けたでしょう。が、これだけでは収まらない大きなものがさらにあります。

安倍家=岸家=佐藤家=山口県=長州=日本国

先述の通り、安倍氏は代々築かれてきた山口県を基盤としています。

この山口という地は、総理大臣を最も輩出している都道府県です。初代総理である伊藤博文から現在の安倍晋三まで、8人もいます。(菅直人元首相は東京から出馬していますが、出身は山口なのでこれを含めると9人となります。)

なぜ日本最多の総理輩出県なのか?

理由は簡単で、明治維新の際、長州藩士が薩摩と並んで大活躍したからです。吉田松陰の教えを受けた高杉晋作伊藤博文山縣有朋木戸孝允桂小五郎)や前原一誠久坂玄瑞など、各自が小説や映画の主役になれるほどの人物を輩出しました。

維新後、西南戦争を経て薩摩の勢力が衰えたことにより、長州藩の1人勝ち状態となります。いつからか長州閥と謳われ、このパワーが現在まで脈々と続き、その直系の後継者が安倍氏と言っても過言ではないでしょう。

 

安倍氏はそんな今の日本と自分を創りあげた山口を心底愛しています。氏が尊敬する人物として、祖父の岸信介吉田松陰を挙げているところにもそれは現れています。

 

以上の点をまとめますと、「安倍晋三という人は安倍家を背負っている=岸家を背負っている=佐藤家も背負っている=山口を背負っている=長州を背負っている=日本を背負っている=だから自分は強くあらねばならないのだ」という図式が成り立ちます。これが安倍氏の内在的論理だと推測できます。

この華麗なる家系と山口という偉人輩出県が背景にあるということは、彼にとって光であり、同時に闇だと自分は思います。

岸信介へのレクイエム。そして強くあろうとする故に

「安倍という奴は、なんでこうも強引なことをやろうとしているんだ!小心者のくせに!」といったニュアンスのことを見聞きしますが、これもすべて上記の要因で説明がつくでしょう。

安保法案や憲法改正に関していえば、「孫である自分がやらないで誰がやる」といった想いの方が強く、国民は二の次。「誰が何と言おうとも、退陣に追い込まれた岸信介への供養をオレがするのだ」という意志が明確にあるのでしょう。

 

そして「小心者」つまり「弱い人間」だというのは彼自身が最も知っている。その反動として強くあろうとし、タカ派的姿勢を演じている。

なので安倍氏は、強いものや不良的なものに異常に憧れています。ヤンキー先生こと義家弘介衆議院議員を妙に持ち上げたり、ライトノベリストの百田尚樹氏と共著を出したり、好きな映画が『ゴッド・ファーザー』や『仁義なき戦い』でいずれ「ヤクザ映画を撮ってみたい」と言っていたり…。

 

簡単に言うと、安倍氏は典型的な理想型人種なのです。

なので同族として、自分は氏の気持ちが痛いほど分かります。我が家は名門でもなんでも無いですが、もし自分が安倍氏の立場だったらそのプレッシャーに耐えられず、もっと過激なことをやってしまうしょう。

また氏の人相を見る限り、人格的に悪そうな所が見当たらないのがまたツライ。悪人面とは程遠い、典型的なお人好し日本人というか、生真面目オーラ満載。実際、氏はサラリーマン時代に同僚からよく慕われ真面目に仕事をこなしていたと言います。

が、この生真面目さというのは、他人の意見を聞かないある種の反知性主義に陥り、「これしかない」と信ずると猪突猛進な姿勢を見せる傾向があります。それが国政を操る主であるのは、やはり危険性が高いと思います。

だからこそ「たのむから、もう無理すんなよ…また身体壊すぞ」と、反安倍論とは違ったニュアンスで言ってあげたくなります。

締めとして1曲紹介しておきます。

ビートルズの曲で『Carry that weight』というのがあります。事実上のラストアルバム『Abbey Road』のB面メドレーラスト近くにある曲で、歌詞は以下のごとく。

www.youtube.com

Boy, you're gonna carry that weight
Carry that weight a long time
Boy, you're gonna carry that weight
Carry that weight a long time

I never give you my pillow
I only send you my invitations
And in the middle of the celebrations
I break down

 

少年よ

君は重い荷物を背負って

進まなければならない

これから長い間ずっと

 

僕は君に枕を決してあげないんだ

僕は君に招待状を送るだけなんだ

そしてお祝いの途中で

僕は泣き崩れるんだ


超重い荷物を背負って進まねばならない「Abe Road」は、今後どうなるのでしょうか。

少なくとも、賛成反対云々の感情論的極論で済むほど簡単な話ではなく、もっと深い所を探る必要があります。

 

 

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